推しの区別がつきません!

最近、顔や名前がなかなか覚えられなくなってきたけれど、それでも推したい!アラフィフのおPさんの正直な気持ちを綴ります。

『コンビニ人間』を読んで



図書館で借りていた村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を、昨夜一気に読み終えた。

本作は第155回芥川賞受賞作らしい。

なるほどおもしろかった。


変わり者の主人公の心の中というか思考が丁寧に描かれているので、「こういう思考からのあの行動なのか」と妙に納得してしまった。かなり変わり者だけど。


何を隠そう私も相当な変わり者だと自負しているので、思考までは主人公に共感することも多かった。行動は同じ行動はしないなと思うものが多かったけど。


あと、私がズキューーーンと心臓を撃ち抜かれたのは、主人公が自分を語る際に使われた


「コンビニ店員として生まれる前のことは」という言い回し。


「コンビニ店員になる前は」ではなく、「生まれる前は」という表現に、心を鷲掴みにされた。

その表現で、「ただの」コンビニ店員ではないことが、いや、主人公が自分を「ただのコンビニ店員」だとは思っていないことがヒシヒシと伝わってきた。

当たり前だけど、作家さんってすごいな。



主人公の、自分は周りの人と違っていることを自覚していて周りの価値観に自分を寄せに行ってる感じが、私とちょっと似ていた。


働いている場所が私もミニスーパーなので、今日は働きながら「主人公の古倉さんならどんな売り場を作るかな?」とか「このお客様にはどう対処しただろうか」などとつい妄想してしまった。ただ、古倉さんはミニスーパーでは絶対駄目で、コンビニでしか働かないんだろうけど。



ラストは……私は切なくなったかな。

自分で選んだ道だったけど、主人公はやはりコンビニ人間だったんだよね……。



普通とか普通じゃないとか、本当に難しいな。

多様性を認めているようで、でも身近な人には「普通」を求めてしまいがちだし、「普通」でいてくれると安心したりしてしまう。

また自分自身も人の目を気にしてある程度普通に寄せにいっちゃうことが多いし。



長女が通信制高校に通っているので学校にも週1回しか行かないし、まだバイトもしていないので、長女がどこにも属せていない、不安な気持ちにならないように、またどこかに属したとしても主人公のように「私は〇〇人間だ」と、その世界でしか生きられなくならないように、私は身近な人に「普通」を強要しないようにしようと心に誓った。



みんなが生きやすい世の中になりますように……



はぁ。『みんなちがって、みんないい』(金子みすゞ)みたいな名言、言いたいんだけど全く浮かばないな……